第16章 ハロウィーンパーティー
「何で俺だけワンピースなんですか!?」
「魔法使いがズボンを履くと思うか?」
「え…?んー、多分履きます」
「ちびっこのイメージが壊れてしまうだろうが。夢を持たせてやれ」
何だそれ…。
意味の分からない理由に呆れかえってしまった。
だが折角作ってくれた衣装だからなぁ。
作り直せって言ったら失礼だよな…。
俺は小さくため息をついた。
仕方ない、か…。
「サイズ合うかどうか各自試着してみてくれ。合わないところとかあったら言うように」
返事をして各自自分の席に戻った。
俺も同じ様に席に戻ろうとしたとき、ふと係長が視界に入った。
小さくため息をつき、眠たそうに欠伸をしている。
徹夜したのかな。
ここの係で一番偉い地位に立ってるからこそ弱音も吐かない。
辛くても絶対表に出さない。
そんな心がけが、クラウスさんが惹かれた理由のひとつかも知れないな。