第15章 愛し愛され
「ただいま」
そう呼びかけると、リビングから隼人が顔を出した。
「お帰り。あのさ、飯作ってみたんだけど……食うか?」
「え!?お前が?」
あ、何か焦げ臭い…。
嫌な予感を心の中に抱きながら、おそるおそるリビングに足を踏み入れた。
テーブルには皿がいくつか置いてあり、その皿の上には、黒い物体の様なモノが乗っかっていた。
嫌な予感、的中…。
「これは、何だ?」
「んー…野菜炒め?」
「何で疑問系なんだよ…」
ひとつため息をつき、皿に視線を戻す。
まぁでも、折角あの隼人が作ってくれたのだから…。
俺は思い切って、皿に乗っているモノの破片を摘まみ口に入れた。
「おい、無理して食うなよ」
「ん……無理はしてない」
だって、俺のために作ってくれたのだから、食べなきゃ失礼だろ。
しかも意外といける。
「うん、普通に美味しいな。濃いめの味もいい」
もう一口食べ、そう感想を述べる。
すると隼人は嬉しそうに笑い、俺に抱きついた。