第15章 愛し愛され
クラウスさんはそう呟き、俺を見た。
「羨ましいよ」
多分その言葉は、嘘偽りない言葉だと思う。
だからこそ、余計に胸が痛んだ。
数時間後。
無事仕事を終え、クラウスさんと別れ帰路についた。
その間、クラウスさんに言われた言葉を思い出していた。
『愛し愛される関係が一番美しい』
確かに、そうかも知れないな。
お互いが好きでたまらない。
そんな関係が羨ましいと思っていた時期もあった。
いつか俺も、そうい相手が出来るだろうか。
何て考えてたら、案外早くそういう相手を見つけていた。
クラウスさんが羨ましがるのも分かる気がする。
でも、普通に恋をするクラウスさんも、美しいと思うのは俺だけだろうか。