第15章 愛し愛され
「お、おい放せ!」
引き剥がそうとするが、なかなか放れてくれない。
「よかった…。正直失敗作で食べてもらえるかどうか不安だったんだ。けど、美味しいって食ってもらえて、想像以上に嬉しい」
俺を抱きしめる力がぎゅっと少し強くなる。
あぁ、その気持ち分かるよ。
大切な人に、ご飯作って食べてもらえて、美味しいって言ってもらえたら、凄く嬉しい。
俺は軽く隼人の背中に手を回した。
「!……なぁ貴夜」
「ん?」
「好き……」
何だ、急に。
俺は小さくため息をつき、隼人の言葉に応えるかわりに、背中に回した腕にぎゅっと力を込めた。
それに気付いた隼人が、俺をベッドに連れ込もうとしたが、殴って阻止したのは言うまでもない。