第2章 仕事場にて
「もしかして、お前も思ってた?」
図星をつかれ、更に赤くなる。
「耳まで真っ赤だよ、貴夜」
知ってるよ、そんなこと。
お前が変なこと言うからだろ。
隼人が、後ろから俺を抱き締める。
「離れろよ、料理が出来な……ひっ!?」
隼人が俺の耳を舌で弄ぶ。
時々甘噛みもされ、ぞくぞくとした感覚が身体中を駆け巡った。
「だ、から…耳はダメだって……」
隼人は、耳を攻めながら、エプロン、Yシャツのボタンの順に外していく。
そして、奴の手が俺の肌に触れた時、我に返り隼人の手を振り払った。
「やめろ、昨日したばっかりだろ」
ドクドクと煩い鼓動を落ち着かせながら言う。
「いいじゃん、別に」
「良くない!」
「んー、じゃあ明日の夜?」
「明日もダメだ。それに夜は係りの人と飲みに行く」
「えぇ!?」
驚きの声を発した後、隼人は俺の肩を掴んだ。
「だったら尚更今日しなきだろ!」
「何でだよ!ふざけんな!」
「貴夜!」
隼人は俺をキッチンの台まで追い込み台に手をつき逃げられなくする。
「何をそんなに慌ててるんだ?」
俺がそう問うと、隼人はずいっと顔を近付けた。
「待って……んっ!」
言葉を発しようとすると、隼人が自身の唇で俺の言葉を遮る。
「んぅ…は、ぁっ」
いつもより、強引な口付け。
一体、どうしたんだ。
いつも余裕そうな顔してするのに、今は余裕がない。