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短編詰め合わせ

第3章 ゼアル:シャーク


神代の優しさがむず痒い。 私が何時もより御洒落をしていけば、目敏く気づき似合ってると短い一言だが褒めてくれる。同い年とは思えない大きな手で私を掴みゆっくりとした歩調で歩く、無愛想な彼がしてくれているのだと思うとどうにも気恥ずかしくて言い表せない気持ちが湧き上がる。 優しい人だとは分かっているけれども、こうも態度に現れる人だとは思って居なかった。広い背中を眺めながら少し後ろを歩いていると神代が振り返りどうかしたかと目が語っている。温もり帯びた瞳に、ざわつく胸を押さえ隣へと並ぶと何事もなかったかのよう歩き出す彼の速度はまた少し遅くなる。 あのね、神代別に手を繋がなくたって私大丈夫だよ。何度も言おうとするけれど上手く呼吸すら出来ない口が話せる訳も無くただただ彼との時間が経って行く。 第一彼とは今日偶然出会っただけで、私が行きたい店を探していたらたまたま神代が知っていただけで― 絡み合わせられていない指に少しだけ力を入れると神代が視線を私に向けたのが分かった。 「悪くねえな、こんな日も」 一人事なんだろうけど、振り向いて後悔した。少しだけはにかむ君の顔が余りにも綺麗だったから。好きになっていく自分が、恥ずかしい。


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