• テキストサイズ

我らは暗殺隊とんこつ団!

第2章 非日常の始まり



炎天下の中、僕は水鏡の国の中央通りを歩いていた。
額ににじみ出てくる汗を手の甲で拭うも、滝のようなそれは止むことを知らない。


手で目を守りながら空を見ると、陽が馬鹿みたいにサンサンと光と熱を放っていた。
ああ太陽、いつ誰がこんなに暑くしろと頼みましたか?


ただえさえこれから始まる【仕事】の事を考えるとイライラするのに、加えてこの暑さ。
つい発狂してしまいそうになる。


しかしそんな事にいちいち発狂してられる場合でもない。
再び前を向いて歩くと、ふと香ばしいようなクドいような匂いが漂ってきた。



反射的にそちらを見ると、パタパタと扇子で仰ぎながら食べ物を焼く商人が目についた。

その匂いにつられたのか、中年女性が一人店を覗いている。

更に視野を広げてみれば、横幅の広い通りを目一杯使って追いかけっこをする子供がいる。

耳を澄ませば、広場で楽団が正午を知らせる無駄に陽気な音楽が聞こえてくる。


僕はかすかに眉をひそめた。




――ああ、いつもと同じ。




いつもと変わらぬ町並み風景、匂い、音。


僕は一体いつまでこのつまらない日常の中に閉じこも らなければいけないのだろう。

18年間この街で生きてきて、いい事があったか。


それでも、僕はここでしか生きていく術がない。
/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp