第3章 とんこつ団という名の組織
声のした方を向けば、黒い髪の女の人がすぐそばに座っていた。
「うわっ!」
つい情けない声をあげる。
女の人は嬉しそうに「ふふふ」と笑った。
なんか見た事のある顔だ。
確か……と想い出すと同時、僕は変な二人組のルネさんとクリムさんに会った事や、みぞおちを殴られた事を思い出した。みぞおちが痛いのはそのせいだろう。
そして、その後気を失って……それからどうなったんだっけ。
それにしても、やはり異常に視界が揺れていてる。なんだか目眩とは違う感覚で気持ち悪い。
一体ここはどこなんだ、と周りを見渡した時。
ある事に気がついた。
「おう、起きたか」
ふいに金髪の男が視界に入った。
今度はすぐに名前が出てきて、僕は立ち上がり男に迫った。
「クリムさん、これどういう事ですか!なんですかここ!!」
胸ぐらを掴むかのような勢いで早口でまくしたてる。
対するクリムさんは非常に冷静な顔で、
「船だが?」
と言った。
だが、そんな事見りゃ分かる。
――僕は、何故か広い海を悠々と進む船に乗っていた。
周りを見渡しても、海の深い青しか目に映らない。
視界が揺れるのも当たり前だ、船に乗っているのだから。