第2章 非日常の始まり
こればかりは理解にワンテンポ遅れる。
「……は?」
わけが分からず、だらしなくも口をぽかんと開ける。
ルネさんに目をやるも、微笑まれて頷かれてしまった。どうやらふざけているわけではなさそうだ。
意味がわからない、と異論を唱えようとした時。
「ぐっ……!?」
急にみぞおちに鈍い痛みが走った。
――それもそのはず、クリムさんからみぞおちに会心の一撃を喰らっていたから。
あまりの痛さに、吐き気かこみ上げてくると同時に視界がおぼろげになってきた。
体が倒れそうになるのをクリムさんが支えてくれるも、意識はだんだん遠くなる。
「……まあ、スカウトって言っても強制ですが」
最後に聞いた言葉は、そんなルネさんの穏やかな声だった。