第1章 空よ、泣き止め
「俺の音に乗れんのは、お前だけだろうが。理由なんざ、それで十分だ。…約束を忘れた、とは言わせねぇぞ。」
「…本当、嬉しい事を言ってくれるねぇ。」
一緒に行けば、必ずのこの恋情は大きくなるだろう。きっと、晋助に自分を求めて欲しくなる。そして、もし望まぬ結果になれば、彼の側に居る事に耐えられなくなるかもしれない。
それでも良いと思ってしまう自分に呆れながらも、は晋助に手を伸ばした。己よりも大きな手に包まれれた事を確認すれば、三味線だけを手に取っては晋助に進む道と、己の全てを委ねた。