第17章 【縁下 力】隣の席は縁下くん
「それじゃぁ、クジの番号の席に移動しろー」
ガタガタガタ
今日は待ちに待った席替えの日。
私は窓側から2番目の一番後ろの席だった。
机の中の教科書を持って、私は自分の席に腰かけた。
「一番後ろなんてラッキー」
私が教科書を整理していると、
隣の席に誰かが座るのが分かった。
「あっ、隣は佐藤さんかぁ」
私が窓側に目を向けると、
そこには縁下くんが立っていた。
「よろしくね。縁下くん」
「あぁ、よろしくな」
彼の名前は縁下力くん。
2年生で初めて同じクラスになった男の子。
バレー部で、よく田中くんや木下くん達と一緒にいる。
勉強もわりと出来る感じ。
たまに田中くんに教えてたりするのを見たことがある。
すごく目立つタイプではない。
外見に特徴もなくて、ごくごく普通の高校生って感じ。
いつも穏やかな感じで、優しい男の子。
私の縁下くんへの印象はこんな感じだった。
「縁下くん、この問題わかる?」
「あぁ、ここは…」
それから私たちは、授業で分からない所を教えあったり、
日直の仕事を一緒にやったり、
どんどん仲が良くなっていった。