第16章 【西谷 夕】俺が100歳になったら…
すごく冷たい…
ずっと外で待っていた夕くんの身体はとても冷え切っていた。
すぐにお風呂に入ってもらい、
私は泣きはらした目を冷やした。
シャワーを浴び終わった夕くん。
いつもツンツンに立ててる髪も
ストンとサイドに落ちている。
バスタオルを巻いたまま、夕くんは私のそばに来て、
腫れた目にキスをしてくれた。
そして、グッと強く私の顎を引き上げた。
「これでも、俺傷ついてるから」
「ごっごめん…なさ…」
夕くんは少し強引に私の唇を奪った。
「んっ…ゆ…う…くんっ…」
夕くんの優しいキスが私達の溝を埋めてくれた。
「ゆっ、夕くん!風邪引くよ!
早く服着ないと!」
私はキスの息継ぎのタイミングで
グッと夕くんと距離を取った。
「…もう、無理。我慢出来ねぇよ。
あの日ぶつかったお詫びしてくれよ」
夕くんはニカっと笑って私をベッドへ連れて行った。
「おっ、お詫びじゃないよ?」
「こないだはお詫びって言ったくせに?」
「いっ、意地悪…」
ベッドに横になり、見上げる夕くんは
小柄な体型だけど、筋肉もしっかり付いてて、
ちゃんと男の人なんだって感じる。
ずっとこの空間ならいいのに…
そう思った。
「ひろか、また余計なこと考えてるんじゃねーだろうな?」
夕くんの言葉にハッとしてしまった。
「ひろか。他のことは何も考えずに
俺のことだけ考えろ。俺だけを感じていてろよ」
夕くんは強く私を抱きしめた。
The End