第15章 【東峰 旭】年下の彼氏
バスのアナウンスがなり、私が下車する駅だと分かった。
バスは停車したが、後ろの方に押し込まれた私は
全く前には進めなかった。
「すいません…おりま…す」
かき分けてもかき分けても全然進まない。
運転手さんにも気付いてもらえてないようで、
バスは扉を閉めようとしていた。
「すいませーん!降ります!!!」
すると、さっきの高校生が大きな声で叫んでいた。
彼は私の前に立ってゆっくりと前方へ向かっていった。
私は彼が作ってくれた空間を利用して、
なんとか無事に下車することが出来た。
「ふぅ~。すごかったね」
私達はため息をついてから、目が合って笑った。
「君と一緒のバス停で助かったよ…。
私、この近くが会社なんだ。今日は色々ありがとう」
そう言って彼とお別れをして、会社の方へ歩き出した。
今どきの高校生って大きいんだなー。
そんなことを思って、なんとなく後ろを振り返った。
すると彼はバスの時刻表を確認していた。
まさか・・・
「・・・もしかして、ここで降りる予定じゃなかったの?
私のために一緒に降りてくれたの?」
私が彼の元へ戻って尋ねると、ハハハと彼は苦笑いをした。
よくよく話を聞くと、彼の家の方向へ行くバスが来るのは
あと1時間近くもあるらしい。
「本当に、ごめんね。…そうだ!お茶でもしない?」
私はそういって、近くのカフェへ彼を連れて行った。