第99章 【東峰 旭】U&I
ひろかside
旭くんと別れて、アパートの階段を上ると部屋の前に彼が立っていた。
「何しに来たの?」
私が彼から目を逸らし部屋に入ろうとすると、彼は私の腕を掴んで離さなかった。
部屋の前で話す訳にもいかないのでとりあえず部屋へ入ってもらうことにした。
部屋に入るなり、彼は頭を下げて謝った。
付き合いの長い私達。そんな時に他の人からアプローチされて、つい・・と。
「私だって、他の人から告白されたよ?けど、ちゃんと付き合っている人がいるって断ったんだよ?」
「それが、この間の奴?」
彼がいうこの間の奴とは恐らく旭くんのことを言っているのだろう。
彼には旭くんと付き合っているからもう会いに来ないでと言ってしまっていた。
「そっ、そうだよ!」
「・・じゃぁ、ひろかだって俺と付き合ってる時に他の人に告白されて、少しは嬉しいって思ったってことだろ?俺と別れてすぐにそいつと付き合うって本当に彼の事が好きなのか?浮気をした俺へのあてつけじゃないのか?」
彼は顔を上げて私をジッと見つめた。
「そっ、そんなことない!!」
私は咄嗟にそう言って、彼を無理やり部屋から追い出した。