第99章 【東峰 旭】U&I
「旭・・くん?」
「ひろかさん!」
それからしばらくして、バス停にひろかさんが現れた。
「どっ、どうしたの!?こんなところで」
俺はすぐにカバンからパンを取り出してひろかさんに差し出すと、ひろかさんはビックリした顔で俺を見た。
「お昼抜きって言ってたし、ここのチョコメロンパンが好きって言ってたから・・」
今考えればパンくらいで何をやっているのか。
社会人のひろかさんならもっと美味しいモノを買えるだろうし、わざわざ待ち伏せみたいなことをしてまで渡すものではなかったな。とここまで来て反省した。
迷惑だったよな、とゆっくりひろかさんを見ると、くすくすと笑い始めた。
「わざわざ持ってきてたの!?もう9時半だよ?ずっとここで待ってたの?連絡くれればよかったのに!もし私が直帰してたらどうするつもりだったの?」
「あっ・・」
「ふふ、あははは!・・ありがとう!実は腹ペコだったんだ!」
ひろかさんはそう言って俺からチョコメロンパンを受け取った。
ひろかさんはすぐに袋から取り出して、パンを半分に割って片方を俺に差し出した。
「半分どーぞ」
俺たちはバス停のベンチに座って半分に割られたチョコメロンパンを頬張った。高校時代の話をしながら美味しそうにパンを食べるひろかさんを横目でこっそり見た。何度も食べた事のある味なのにこんなに美味しく感じるのはどうしてだろうか。
「あっ、そうだ!旭くん、今度の日曜日暇してない?」
「日曜午前中は部活でその後なら・・」
「本当!?じゃぁさ、お姉さんとデートしない!?」
「・・・えっ!?!?」