第98章 【日向 翔陽】太陽はいつも君の傍に
ぐぅ~
「・・腹減った~」
「って、翔陽どうやってここまで来たの?」
「ん?学校からチャリで」
「えっ!?家に帰ってないの?お母さん心配するじゃん!」
「あっ・・やべ。電話しなきゃ」
翔陽は焦ってカバンから携帯を取り出して電話をし始めた。
「学校からここまでってかなり距離あるのに自転車で来てくれたんだ・・しかも部活後の疲れてる時に・・」
私は電話をしている翔陽の背中に見惚れた。
決して大きい身体ではないけど、私よりも肩幅は広くて筋肉も付いている。
今まで年下の可愛い男の子って思っていたのに、
本当は私なんかよりずっと頼もしい男の子だった。
“俺がひろかを守ってあげるから!”
翔陽の背中がすごく大きく見えて、私はそっと傍によって抱きしめた。
「わっ!!・・あっ、いや、なんでもない!」
電話の途中に抱きついたから、翔陽が焦って顔を真っ赤にしていた。
私は自分のスマホのメモ機能を開いて文字を打ち込んだ。
翔陽、今日はずっとそばにいてくれる?
「えっ!?あっ・・いや、うん。だから、かっ影山の家でバレーのDVD見ることになったらか泊まって来てもいいかな?えっ!?影山の家に電話?いいよ!だっ、大丈夫だから!じゃ、じゃーね!」
翔陽は慌てて電話を切って私の方に振り向いた。
「母ちゃんに嘘ついちゃった・・」
「・・ごめん。わがまま言って・・」
「ううん。・・すっげぇ嬉しい!初めてひろかのわがまま聞けた!」
「ハハ!何それ。何で喜んでるの?普通わがまま言われたら困るでしょ?」
「好きな女の子のわがままは嬉しいもんだよ、男はさっ!」
「・・じゃぁ、もう一つわがまま言ってもいい?」
「ん?」
私は翔陽の耳元でもう一つのわがままを言った。
翔陽はまた耳まで真っ赤にしてアタフタしている。
さっきまで頼もしかったカッコイイ男の子から、いつもの可愛い男の子に戻った。
「翔陽・・」
「ひろか・・」
ぐぅぅぅぅ。
「アハハ!とりあえず、何か食べよっか!」
二人同時になったお腹を擦りながら私達は笑った。
TheEnd
あとがきあり