第98章 【日向 翔陽】太陽はいつも君の傍に
“おかえりなさい”
その言葉はどんなに暖かいものだったのか
私はこの真っ暗な部屋の扉を開けて大きくため息を吐く。
高校を卒業してすぐに就職した。
就職先は同じ県内だけど実家からは少し遠かったので会社の近くで一人暮らしを始めた。
実家から通えない距離ではなかった。
だけど、もう社会人だし自立したい。
それに一人暮らしってすごく憧れていたから。
自分の好きな家具に囲まれて、お料理も頑張って、
門限なんて気にしなくてもいい自由な生活。
仕事は大変なことをあるだろうけど、
学生の時だって何をやってもそれなりにこなせた。
自分で言うのもなんだけど、器用で容量がいい方だ。
だからきっと大丈夫。
そう思っていた。