第97章 【京谷 賢太郎】それはきっと空のせい
翌日
昨日のイライラが収まらずに俺は休み時間屋上に来ていた。
横になって空を見上げると、身体がふわっと宙に浮いたような感覚になる。
「こらっ!そこにいるのは誰!?」
屋上の入口から声がかかり、ガバッと身体を起こした。
「・・・アハハ!ビックリした!?」
そこには教師ではなく、女子生徒が立っていた。
「誰だ、てめぇ」
「ひっどいな!昨日話したじゃん!」
そいつはそう言って、俺の隣に座った。
「私は佐藤ひろか。隣のクラスだよ。よろしくね、京谷!」
俺は一度起こした上半身をもう一度日差しで熱を帯びているコンクリートに押し付けた。
「てめぇ、なんで俺の名前知ってんだよ」
「矢巾に聞いた!」
そうだ。どこかで見たと思ったら、昨日矢巾との間に入って来た女だ。
入学時からよく矢巾の横にいた女。
「・・矢巾の女かよ。あいつに言われて俺を説得しにでも来たか?バカじゃねーの」
余計なお世話だ。俺は顔を背け、小さく舌打ちをした。
すると、すぐ横で大きな笑い声が聞こえて来る。
「私が矢巾の女!?やめてよー!ないない!」
そいつはそう言ってしばらく一人で笑った後に、ぐーっと身体を伸ばした。
「ところで何で部活休んでるの?」
「・・ヘタクソな奴ばっかだからだよ」
「へぇ。青城バレー部って強豪でしょ?そのメンバーをヘタクソって言うってことは京谷はすごい上手なんだろうね」
「・・・」
「まぁ、矢巾があそこまでして戻らせたいと思っているってことはそう言うことか。あっ、予鈴だ。私は戻るね。・・バイバイ、京谷」
そいつはスカートを払い、もう一度大きく伸びをして去って行った。
一体何をしに来たのか。俺は再び空を見上げ、小さく舌打ちをした。