第96章 【花巻貴大/コラボ企画】kiss with you
「・・で。他に不安に思ってることねーの?この際だから全部言えよ?」
「あっ・・あの・・」
「ん?」
「クラスのキレイな女の先輩が「花」って呼んでると悔しいです・・」
「ぶっは!何?嫉妬?」
花巻先輩はケラケラとお腹を抱えて笑い始めた。
「嫉妬ですよ・・。花巻先輩モテるし、色々心配です・・」
「じゃぁ、さ。貴大って呼べよ。他の女は呼んでないけど?」
ニヤっと笑って、早く呼べと言わんばかりに顎を動かした。
「たか・・ひ・・ろ先輩?」
初めて名前呼びするのはとても恥ずかしくて顔が一気に熱くなった。
「・・・ひろか」
貴大先輩はそう私を呼んで俯いた顔を上げるように頬を両手で包み込んだ。
そしてゆっくりと顔が近くなってくる。
「きっ・・緊張してないんですか?」
「してる。けど、知ってた?自分より緊張してる人見ると、自分の緊張が和らぐって法則」
「ずるい!やっぱり私の方が緊張してるじゃないですか!!」
私が頬を膨らませると、貴大先輩はハハと笑った。
そして、すぐに表情を変える。
真っ直ぐに私を見つめる瞳に引き込まれてしまいそう。
心臓はバクバクと音を立て、私はゴクンと喉を鳴らした。
「・・ひろか。・・好きだ」
教室の窓からは夕日が差し込んで、貴大先輩の色っぽさが増していた。
再び繋がれてた手。
近づく貴大先輩の唇。
心臓は今にも飛び出してきそう。
「私…幸せすぎて死んでしまうかもしれないです」
「バーカ。そんなことで死ぬかよ!」
「…好きです。貴大先輩…大好きです」
「あぁ。俺も…好きだ、ひろか」
私は溢れてきそうな涙をグッと堪えながら、ゆっくりと背伸びをした。
The End