第96章 【花巻貴大/コラボ企画】kiss with you
「わっ、わっ!!はっ、花巻先輩!花巻先輩がいるっ!!」
昼休み
周りの声に反応した私の目に入ってきたのは花巻貴大先輩。
私の1つ上の先輩。
バレー部のレギュラーで、背も高く、制服の着こなしもおしゃれ。
同じバレー部の及川先輩に次ぐモテ男でファンも多かった。
「ちょっと、花~!重たいってば!!」
「腹が減って力が出ない~」
「「アハハハ」」
クラスメイトらしき男女のグループでワイワイしながらパンを買っている花巻先輩をジッと見つめながら大きく息を吐いた。
花巻先輩は私とは真逆で、明るくて、男女ともに友達が多い。
いつも騒いで楽しそうにしていた。
「でもさ、花巻先輩って遊んでるっぽくない?」
先ほど、花巻先輩を見て騒いでいた女の子達がそんな話をしていた。
その言葉に再び花巻先輩を見ると、一緒にいたグループの女の人と肩を組んで楽しそうに話をしていた。
「あぁいう人は見てるのがいいんだよね~。彼女になったら大変そうだし」
「確かに!」
さ、行こう?そう言って去って行った彼女達を見送って私も購買で昼食を買った。
初めて花巻先輩の存在に気がついたのは1年の体育祭の時。
ねん挫した私の手当をしてくれたのが花巻先輩だった。
初めての痛みに不安でいっぱいだった私に、花巻先輩は丁寧に手当をして優しく言葉かけをしてくれた。
花巻先輩にとってはたくさんいるケガ人の中の一人だったかもしれないけど、私はその日からずっと花巻先輩が好きだった。
花巻先輩と付き合いたいとか、そんな贅沢なことを考えてはいない。
花巻先輩と同じ学校に通えたことだけで私は幸せだった。
ただ遠くから見ていられたらよかった。それだけで良かった・・。