第90章 【及川 徹】だから嫌いなんだよ
「及川くん、おはよー」
朝練が終わって教室に向かうと大体は女の子に捕まる。
何人かに囲まれて、教室の入口付近で話をする。
「あっ、ひろか!おはよー」
近くで聞こえる声に反応して、俺が声のする方を見ると
すらっとしたショートヘアの彼女がいる。
俺は彼女が苦手だ。
声をかけられた友人達と楽しそうに話をしながらこちらに近づいて来る。
「あっ、及川おはよー」
そう言って、俺の返事も聞かないまま教室に入って行く。
彼女の背中が見えなくなって、ふと目の前にいた女の子達の存在を思い出す。
「及川くん、どうかした?」
「ううん。何でもないよ」