第88章 【青根 高伸】私の彼を紹介します。
ドドッ!
「オオオ!!」
「ナイスブロック、青根!」
試合が開始され、両校共に接戦を繰り広げている。
「わぁ・・すごい、あの人」
「7番でしょ?迫力あるよね~」
「迫力・・うん、あんな人に絡まれたら腰ぬける」
「確かに・・」
ピピー!!
接戦の末、見事伊達工業がセットを取った。
友人たちは自分の学校かのように喜んで、私は緊張から解放されてドッと疲れてしまった。
「で?結局ひろかの彼氏ってどの人だったの?」
「私、イケメンの6番!」
「私は男っぽい1番かな!」
「うぅ~ん。私、2番かな!優しそうだし、意外と頼れそう!」
正解は!?そう言って、私は友人3人に囲まれた。
私は手すりから身を乗り出すように体育館から出ようとしている青根くんに手を振った。
「青根くん、お疲れ様!」
私の声に友人達も身を乗り出す。
「紹介します。私の彼氏の青根くんです」
その後、彼女たちの驚きの声が体育館中に響き渡った。
「お疲れ様!」
その日、学校に戻ってミーティングを終えた青根くんと待ち合わせをした。
きっと急いできてくれたのだろう。少し息が上がっていた。
「すごいね。私体育のバレーしか見たことなかったから驚いちゃった。ブロックってやっぱり手痛いの?」
私がそう尋ねると、青根くんは左の手のひらを私に差し出した。
その手があまりにも大きくて、私は彼の左手の上に自分の右手を乗せた。
「青根くんの手ってこんなに大きんだね。私の手、子供の手みたい。ね?」
そう言って青根くんを見上げると、青根くんは顔を赤くして固まってしまった。
「ごっ、ごめん」
私は急いで手を離して、行き場のない右手を胸の前で握りしめた。
すると、青根くんの大きな左手が私の右手を包み込んで、そのまま下で繋がれた。
私がそっと青根くんの顔を覗くとやっぱり顔が真っ赤になっていて、私はふふふと笑ってしまう。
こんなに厳つい強面なのに、
動物が大好きで、お花に優しく出来て、お年寄りにも親切な、そんな青根くんが好き。
前が見えなくなるほどの大きな背中も、私の手が子供の手に見えるほど大きい手も、全部大好き。
けど・・
「ねぇ、青根くん?」
「名前、呼んで?」
私は赤くなった青根くんの顔が一番好き。
TheEnd