第88章 【青根 高伸】私の彼を紹介します。
キュッキュキュ
体育館に響きわたる、シューズがこすれる音。
バシンとスパイク音が鳴り響いて、勢いのある声が色んな方向から聞こえてくる。
「ねぇ、ねぇ!ひろかの彼氏ってどれ?」
「伊達工でしょ?あれだ!緑のユニフォームの!!」
現在私は中学の同級生たち3人と彼氏の練習試合を見に来ていた。
みんな違う高校に通っていて、先日久しぶりに会った時に彼氏が出来たと報告すると見に行きたいと言うので連れてきたのだ。
「ねぇ、ひろか!彼氏、レギュラーなの?何番??」
友人の一人が私の顔を覗き込んで尋ねた。
「えっとね・・・」
私は彼の特徴を頼りに彼が何番のユニフォームを着ているのか探した。
昨日のメールで彼に直接聞いておけばよかった。と反省をしながら。
「ちょっと待って!!言わないで!!私当てるから!!」
もう一人の友人が私の口を塞いだ。
すると他の友人達も楽しそう!と、ひろかの彼氏当てゲーム!とか言い始めた。
「ちょっと待ってよ?確か、ひろかの彼って、王子様的なイメージだよね。出会った時の話を聞いたら・・・」
「うん!すっごく紳士な王子様みたいな人だよ!」