第83章 【黒尾 鉄朗】素敵な靴を探しに行こう
今、俺の背中には柔らかい身体が密着していて、両肩からはハイヒールを持った腕がぶらんと垂れ下がっている。
そう俺は今、見ず知らずの女性を背負って夜道を歩いてる。
「てつろー!お姉さんと良いことしよーよー!」
そう言って、俺の頬にキスをしてくる彼女。
俺は、はいはい。と流して歩き続ける。
あれは、少し前のこと・・・
「わぁ、終電逃した・・・」
親が泊まりで出かけている友人の家でゲームをして盛り上がっていたら、時間をすっかり忘れてしまい、気づいたときには終電の時間は過ぎてしまっていた。
親には友人の家に泊まると連絡をしたので、夜通しゲームを堪能する予定だった。
なのに、彼女が泊まりに来てくれる事になったから帰ってくれという、ありえない裏切りを受けて、俺は自宅まで歩いて帰る羽目になった。