第9章 【月島 蛍】兄貴はずるい
「え?あき兄に告白なんてされてないよ?」
騙された…。兄貴の嘘にまんまと騙された。
休日。ひろかは僕の部屋を訪れていた 。
いつもの定位置。
僕はベッドに腰掛け、ひろかは床に座っていた。
「ねぇ、なんで僕の部屋ではベッドに座らないわけ?」
「それは…その…蛍ちゃんは、男の子…だから?」
頬を赤く染めて答えるひろかを見たら、
僕の口元が緩んでしまう。
「何?意識してんだ。幼馴染なのに?」
「…っ!今はかっ、彼氏だもん!」
「付き合う前からそうだったじゃん」
むーっと僕から視線を外すひろか。
「ねぇ、いつから僕の事、男として意識したわけ?」
更に追い打ちをかけると、
知らない。と立ち上がって僕のそばから離れようとした。
もちろん僕が離すわけもなく、
そのままベッドの上へ座らせる。
「ねぇ、いつから?」
「わっ、わかんないよ。ずっと前からだもん…」
「ねぇ、僕のどこが好きなの?」
「…意地悪だけど、優しい所!って、蛍ちゃんは?私のどこが好き!?」
「そんなの言うわけないじゃん。バカじゃないの」
「えぇーー!何でーーーー」
僕は駄々をこねるひろかの口を塞いだ。
「ひろかは僕のものだから…ね?」
コクンと頷いたひろかにもう一度キスをした。
ちなみに…
山口には全て筒抜けで、
兄貴の策略も、ひろかの気持ちも、
僕の気持ちまで分かった上での行為だったことがわかった。
「ねえ、ツッキー!なんか機嫌いいね」
「山口…うるさい」
「ごめん、ツッキー!」
兄貴は僕にないもの何でも持っていてずるい。
けど、僕は今のままでいい。
The End