第80章 【澤村 大地】カフェオレ
「おぉーい!佐藤~!」
部活に向かう途中に同じクラスの新田くんに声をかけられた。
「これお前のじゃね?教室に落ちてたんだけど…」
新田くんが差し出したのは私の愛用していた筆記用具。
「あっ、私の!!よく分かったね。ありがとう!」
私は新田くんからその筆記用具を受け取って、少し世間話をしていた。
すると聞きなれたあの声が聞こえてくる。
「ひろか!ちょっと来いっ!!」
振り返ると、真っ黒いオーラを漂わせた大地くんが立っている。
「ごめん、私行くね?」
私は新田くんにそう言って、小走りで大地くんの元へ行く。
すると、大地くんは体育館の方へ歩き出して、私はその後を追った。
少しの沈黙の後、いつものセリフ。
「あいつ誰だ?」
「同じクラスの新田くん。サッカー部の…」
勢いよく大地くんは振り返って、私の肩をガシっと掴んだ。
「サッカー部はダメだ!チャラい!絶対だめだ!!」
「いや、この前は野球部がチャラいって言ってたじゃん」
「野球部もサッカー部もダメだ!!」
分かったな?と掴んだ肩を大きく揺らす大地くん。私が困っていると後ろから声がかかる。
「まーた、やってるよ!」
「菅原さん!助けてくださいっ!!」
声の正体は菅原さん。そして、その隣には困り顔の東峰さん。
「何?今度はサッカー部?」
「サッカー部はチャラいだろ!スガもそう思うだろ?」
「・・・じゃぁ、何部だったらいいんだよ?」
呆れて大地くんにそう言う菅原さん。
「バスケ部」
「ダメだ」
「陸上部」
「ダメだ」
「じゃぁさ、将棋部とか!」
「ダメだ」
「じゃぁ、自分はどうなんだよ。バレー部は!」
「・・バレーは真面目なスポーツだ!」