第79章 【縁下 力】あの頃描いた未来
あの頃描いた未来。
あの時は本当にそうなるんだって、心の底から信じていた。
「・・・寒い」
私は大きなツリーが飾られている広場に一人で立っている。
今日はクリスマス。
街はきれいな装飾が施されていて、みんな幸せそうな顔で歩いている。
「Hey how are you doing?」
今ので何度目のナンパだろうか。
まぁ、クリスマスに一人こんな場所にいるんだから当たり前か。
私は冷え切った手に息を吹きかけた。
白い息が顔の前に広がって、少し視界が悪くなる。
「ねぇ、力。すごくきれいだよ・・」