第77章 【影山 飛雄】アンダンテ カンタービレ
「影山~」
「うっす」
朝練が終わると、西谷さん達が俺を囲んだ。
「ちょっと早いけど、誕生日おめでとう!!」
そう言って、ニヤニヤしながらプレゼントらしき物を差し出してきた。
「まっ、楽しめよ!」
「・・・あざす」
良く分からなかったが、とりあえずお礼を言ってその包み紙を開いた。
「「・・・ぶっ、はっはっはっはっは!!」」
包み紙から出てきたのは、小さなリモコンにコードが繋がっていて、その先端には丸っこい何かがついている。
なんだこれは。そして、なぜみんな笑っているのか。全然分からない。
「ひろかのために、色はピンクにしといたぜっ!」
田中さんが親指を立ててドヤ顔をしている。
「もう、お前らも長いだろ?マンネリはいけないぞ、マンネリは!」
「・・・西谷さん、彼女いないじゃないですか」
「うるせー、月島!!!」
ひろかと一緒に使うものなのか?
俺は手のひらに乗るサイズのコレをじっと見つめた。
「・・王様、もしかしてこれ何か知らないとかないよね?」
「月島は知ってるのか?」
いつも音楽機器とかを扱っている月島なら詳しいのだろう。そう思って尋ねたら、周りの空気が一気に変わった。
「お・・お前・・・マジでか・・・」
「・・・・?」