第74章 【岩泉 一】私の言う事は・・・?
「ってかさ、なんで岩ちゃんなわけ?」
及川がひろかのノートを勢いよく閉じた。
「確かに。恋愛偏差値低いっつーか、皆無なくせに!」
今までは、彼女がいたこともあるし、いい感じの女の子とメールのやり取りをしたこともあるし、少なくとも岩泉よりは女子にモテている。というのが彼らのプライドだった。
しかしひろかの存在がそのプライドを傷つけた。
「あれじゃねーの?部活での岩泉しか見てねーから、かっこよく見えるんじゃね??」
「俺だってかっこいいじゃーん!」
「いや、及川さんは試合中だけです」
「ちょっと!国見ちゃん!?」
「一理あるな。じゃぁ、岩泉のダメな所を見せれば…」
松川がボソッと呟く。
「まっつん!そーだね!ふふふふふふ…」
「おっ、及川さん??」
「任せてよ、金田一!及川さんにさ!伊達に岩ちゃんと長い付き合いじゃないよ!岩ちゃんの弱点なんていっぱい知ってるんだからね!」
「やっぱ、お前敵に回したくねーわ」
及川の微笑みに部員たちは岩泉に憐れみながらも、ひろかの気持ちを岩泉から背けることの方が先だ!と一致団結したのだ。