第74章 【岩泉 一】私の言う事は・・・?
「あれ?これ忘れ物じゃないですか?」
金田一が床に落ちていたノートを拾った。
「あぁ、それひろかのだと思う」
国見がノートの表紙の字を見てそう言うと、どれどれ?と及川が覗く。
「何?交換日記とか?」
「いや、交換日記とか古いでしょ。部活の記録ノートじゃない?」
金田一の周りにどんどん人が集まるのをしり目に、岩泉は部室を出た。頭を冷やすために。
「なぁ、中見てみねぇ?」
誰かが好奇心むき出しにそう口走ると、みんな目を合わせて頷いた。
ノートの中には選手のプロフィールが書かれた下に、その日の出来事や気が付いたことが書かれていた。
及川徹 主将 セッター 184cm・・・
今日、及川先輩が捻挫した。
しばらく部活は見学のみ。
笑っていたけど、どこか寂しそうだった。
バレーがしたくてたまらない顔をしていた。
次の月曜の休暇日に再度テーピングの講習に行くことにする。
早く及川先輩のバレーが見たい。
「ひろかちゃん…わざわざ俺のために講習に?」
及川の目にはうっすら涙が見える。
俺は?俺は?と部員たちは自分のページに何が書かれているか興味深々だった。