第74章 【岩泉 一】私の言う事は・・・?
「キャー!!岩泉せんぱーーーい!カッコイイー!」
「ちょっと、ちょっと!!ひろかちゃん?なんで岩ちゃんしか応援しないわけ?マネージャーでしょ!!」
「オイカワセンパーイ、ガンバレー」
「ちょっ!棒読みっ!!」
これが最近の青葉城西の練習風景である。
岩泉に黄色い声援を送っているのが、マネージャーの佐藤ひろか。1年だ。
彼女は入学当初から岩泉にベタ惚れで、彼の近くにいたくてマネージャーになった。
「「お疲れ様でした!!」」
部活が終わると、ひろかはすぐに岩泉の元へ駆けつける。
「岩泉先輩、お疲れ様です!ドリンクです!カッコイイです!大好きです!!」
「お前…ちょっと黙れ!」
「はいっ!黙ります!!!」
ひろかはそう言って、他の部員たちにもドリンクを渡す。
「今日もすげぇな、ひろか」
「どーなのよ。あんなに猛アタックされる気分は」
「・・・どうってよ」
岩泉はため息をつく。
岩泉にとって女子からこんなにもアプローチされるのは生まれて初めての経験だった。恋愛偏差値の低い岩泉はどう対応していいのか分からずにいた。
「正式な告白とかあったわけ?」
花巻がドリンクを飲みながら、岩泉に尋ねた。
「いや・・・」
岩泉は他の部員達にドリンクを配るひろかを見つめた。