第73章 【田中 龍之介】ありがとう。
少し落ち着いて、龍にごめんね。と言うと、バーカと返ってくる。
「あれだな!髪切るか?失恋と言えば髪切るだろ!俺も付き合うし!!」
「……ブハっ!龍の髪、それ以上どうやって髪切るの?」
さっきまで悲しくて涙が出ていたのに、今は笑い涙が出てくる。
龍はなんだ、てめぇ!と私の頭をクシャクシャにして、ガッハッハと笑っていた。
あんなに苦しくて泣いたはずなのに、今は、なんかもういいかなぁーって気分になった。
すっかり外も暗くなって、私達は公園を出て家へ向かった。
「龍、ありがとね」
私は龍の背中に小さく言った。
龍は鼻歌を歌いながら、私の言葉に気づかずに歩いている。
龍がいてくれて良かった。
今日はホント…………サンキュ。
TheEnd