第73章 【田中 龍之介】ありがとう。
さようなら。元気でね。
私の大好きな人。
「龍ー!早く早くー!」
「ちょっ、お前!早ぇーよ!」
私は駅前のショッピングモールに幼なじみの田中龍之介と訪れていた。
「ねぇ、これ可愛くない?」
真っ赤なチェックのマフラー。
私が指を指すと、龍はそれを手に取って私の首に巻きつけた。
「いいんじゃねぇーの?お前赤似合うし」
そうかなぁーと照れると、まぁ、俺の方が似合うけどな!と言って、自分の首に巻きつけて、ドヤ顔をする。
店の前でギャハハと笑う私達はきっと迷惑な客だろう。
「買っちゃおうかなぁ…」
「お前、この間まで使ってたやつあんだろ?」
「あぁ…うん」
そうだよね。と私はマフラーを元の位置に戻した。
「ね!次カラオケ行こう!」
私は龍の手を引いて、半ば強引にカラオケBOXに連れて行った。