第71章 【菅原 孝支】男の子
今日、私は友達を失った。
「菅原に告られたかぁ~」
「うん・・・。って何で驚かないの!?」
私は男友達の菅原に告白されたことを、親友の理香に相談していた。放課後の教室は私達しかいなく、理香は鏡でつけまつげの調子をチェックしながら口を開いた。
「うぅ~ん、なんとなく気づいてたよ?菅原の気持ち」
「えっ!?どこが?今までそんなことあった?」
私が前のめりでそう言うと、理香は鏡を閉じてため息を吐いた。
「ひろかはちょっと鈍感すぎ」
「だって、菅原ってさ、ほら、他の女の子とかも仲いいしさ!」
「うちらの方が断トツで仲いいじゃん。それに、それがひろかを好きにならない理由にはならないでしょ?」
ごもっともな事を言われ、私はしゅんと身体を縮めた。
「で?なんて答えたの?」
「・・・断ったよ?」
何で?と今度はリップを塗りながら私に尋ねる理香に私にも塗って!と口を差し出した。
「だって、菅原をそういう風に見たことなかったし。…友達だし」
へぇ~と言い、理香は私の口にリップを塗ってくれた。
「でも、好きな人もいないなら付き合ってみればいいじゃん?」
「もう!他人事だと思って!そんな失礼なこと出来ないよ…。明日からどうしよう。気まずいな」
大きくため息をついて、菅原の席に目を向けた。
私達以外誰もいない教室はガランとしていて、なんだか少しセンチメンタルな気持ちになった。