第8章 【影山 飛雄】難題
「「おはようございます」」
部活の朝練前。部室にいた菅原さんに昨日の課題について聞いてみた。
「菅原さん。気付いたら目で追っていて、そいつが笑ったらなんかこっちも嬉しくなって…でも、他の男と話してるの見るとイライラする相手の事をどう思っているか。
の答えってなんスか?」
俺の質問を理解しようと顎に手を当てて考えこみ、
そのあとで菅原さんは俺の肩に手を置いた。
「それは自分で考えなさい」
結局、最後の問題だけが解けずに放課後になった。
教室に戻るといつもの席に佐藤は座っていた。
「佐藤…、どうしても解けない問題があって…。
でも、回答が書いてねぇから、答え合わせも出来なくて…」
ノートを差し出したのに佐藤は受け取ろうとしなかった。
「解けなかったのは何問目?」
「…問四」
そっか。と少し笑って、佐藤は
破れたノートの1ページを俺に渡した。
「これは、模範解答ではないけど…。私の答え」
そう言って、教室を出て行ってしまった。
「影山―!部活遅れるぞー」
俺は佐藤からもらった用紙を鞄にしまい、部活へ向かった。
「「おつかれっしたー」」
部室ではいつものように西谷さんたちが騒いでいた。
端の方で着替えをしていると、菅原さんが声をかけてきた。
「影山~、朝の問題解けたわけ?」
その言葉に佐藤からもらった用紙の事を思い出した。
ガサガサっと鞄をあさって、用紙に目を通した。
「すいません。お先に失礼します!」
俺は急いで校門へ向かった。
いつもよりすごく遠く感じた。
「佐藤!」
校門には佐藤が立っていた。
「すまん…俺、全然わかんなくて…。
俺、バレーしかやってこなかったから、こんな問題今まで解いたことねぇし。
…けど、これが好きってことなんだよな?」
佐藤は俺の前に立って、手を取り
自分の胸に手を当ててきた。
そして、俺の胸に逆の手を当てた。
「ドキドキしてるのわかる?」
「あっ…あぁ」
「きっとこれが恋なんだって思うんだ。」
へへ。と照れ笑いしながら佐藤は涙をためていた。