第8章 【影山 飛雄】難題
「影山くん?」
誰かに肩を叩かれて、もう授業が終わったんだと気がつく。
「影山君…、先生が居眠りの罰だってさ」
そう言ってプリント用紙を俺に渡したのはクラスメイトの佐藤だった。
プリントにさっと目を通したけど、全く理解が出来ない。
「…手伝おうか?」
そんな俺を見かねて彼女はそう提案してくれた。
「ここに代入して、これを…」
佐藤と一緒にプリントに取り掛かっていると、
日向のうるさい声が聞こえてきた。
「おーい!影山ー!部活行こうぜ!…ん?何してんの?げっ!影山が勉強してるーー」
一人で騒いでる日向に手が止まる。
「うっせー!日向ボケェ!先に行け、ボケェ!」
そんな俺たちを見て、唖然としていた佐藤だが、
すぐに大きな声で笑い始めた。
「影山くんのイメージ変わった!もっとクールなんだとばっかり…」
お腹をかかえて笑う佐藤に、何だかこっちもつられて笑ってしまう。
「俺、そんなに怖い顔してるか?」
不思議に思って尋ねると、笑いこらえながら首を縦に振る佐藤。
なんか、すごく居心地が良かった。