第57章 【二口 堅治】Little Red Riding Hood
「鎌先~!こっちこっち!」
「おぅ、佐藤~」
今日、私は中学時代の男友達の鎌先達と遊ぶ約束をしていた。
私は女子が多い商業高校。
鎌先は男子が多い工業高校。
鎌先が周りの友人が女子を紹介しろってうるさいって言うので、私の友達を連れて行くという約束をしたのだ。
まぁ、キレイに言ってみたけど、簡単に言うと合コンってやつだ。
「わぁ~、可愛い子ばっかじゃん!」
鎌先の後ろから数人の男の子達がこっちを覗いていた。
「こんにちは!とりあえず…中入ろうか!」
私たちは駅前のカラオケに入った。
ドリンクを注文して、早速自己紹介が始まった。
「佐藤ひろかです。鎌先とは中学からの友人です」
私がそう挨拶をすると、隣の男の子がニヤニヤしながらこっちを見て、鎌先に声をかけた。
「何なに~?鎌先が狙ってる女の子だったりすんの!?」
「ばっ!ちげーよ!!」
顔を真っ赤にして否定する鎌先。
私はこういうシャイな彼が好きだ。
恋愛にはとっても疎くて、私たちの関係は進まない。
けど、鎌先が私を好いてくれているのかなっていうのは伝わっていた。
男性陣も続々と自己紹介を終え、最後の一人になった。
「二口堅治でーす。2年です。よろしくお願いしまーす」
イエーイ!とピースサイン。
なんだかチャラい子だな~と思いながらも、彼の整った顔に少し見惚れてしまった。
すると彼がいきなり私にウインクをした。
私は咄嗟に目を背け、咳払いをする。
確か、昨日鎌先からの連絡で一人チャラいの来るから気をつけろよって忠告されていたな。
あぁいうタイプの男の子って、女の子が好きな事とか全部知ってて思わせぶりな事をして、惚れさせたくせに、俺はそんな気なかった~なんて言うタイプだろう。
私はすぐに彼をそう分析した。
彼には近づかないでおこう。
私はそう心に決めた。