第54章 【花巻 貴大】習慣
「佐藤、ごめん!今日の課題見せてくんね?」
「あっ、うん。いいよ」
久しぶりの花巻くんからのお願いにちょっぴり嬉しくなった。キレイに清書しておいてよかった。イラストも入れておいてよかった。
「3時間目まで持ってていいよ」
「マジで?2時間目自習だからそん時写すわ」
花巻くんはサンキューと言って、自分の席へ戻って行った。
「では今日は自習になります」
私は、教科書とノートを開いて勉強しているフリをする。
そして、少し離れた席の花巻くんを見た。
ピンクがかった髪の毛がすぐに彼の居場所を知らせた。
あっ、早速ノート写してる。
ノート・・・ノート!!!
私はハッとした。
昨日、花巻ひろかなんて書いて
そのまま消さずにお風呂に入って寝ちゃったんだ。
どっ、どうしよう。
そんな事を思っていると花巻くんがこっちに体を向けようとしているのに気が付いた。
私は咄嗟に目線を教科書に落とした。
「どうしよう・・・バレたかも」
私はその時間自習どころじゃなかった。