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【★ハイキュー!!★】短編集

第52章 【田中 龍之介】My First Kiss


「・・・んっ」

夜中目が覚めた。
携帯を見るとまだ2時。
俺は布団から出てトイレに向かった。

廊下に出ると、姉ちゃんの部屋から光が漏れている。
まだ飲んでいるのか。話し声は聞こえるけど、さすがにさっきまでのテンションではなくなっていた。

ガチャ。

トイレの前で俺はひろかさんと鉢合わせた。

「龍くん、まだ起きてたの?」

「いや、目が覚めちまって…」

「えっ!?もしかして起こしちゃった!?」

俺が否定すると、ひろかさんは良かったと微笑んだ。
健全な高校生男子がキレイなお姉さんに微笑みかけられてドキッとしないわけがない。

「ねぇ、龍くん。龍くんは彼女いるの?」

「いっ、いません!!」

「・・・キスしたことある?」

「えっ!なっ、無いっスよ、そんな!!」

俺は動揺して段差につまずき尻もちをついた。
ひろかさんは床に膝をついて四つん這いになり、俺に顔を近づけた。

「ちょっ・・・」

シッ!と言って、ひろかさんは俺の唇に人差指を当てた。

「冴子には内緒だよ?」

そう言って俺の唇を奪った。
俺は健全な男子高校生。もう、自分を止めることなんて出来なかった。

「ひろかさんっ!!」

俺はひろかさんの唇を貪った。
焦る俺のキスをひろかさんが修正し、うまい具合に絡み合う。
キスと言うのはこんなにもイヤらしいものだったのか。
俺の思い描いていたものは、もっとピュアな感じ。味で言うなら、そうレモン味。

しかし、俺の想像とは全く違う現実のキス。
下劣で、お酒の味がするキス。
唇と唇が触れ合うだけのキスではない。
舌と舌が絡み合い、唾液が入れ替わる。

下品に感じるはずの行為がどうしてこんなにも俺を夢中にさせるのか。

「ひろかーーー!吐いてんのーー?」

2階から聞こえる姉ちゃんの声に俺たちはハッと絡み合っていた身体を離した。

「だっ、大丈夫~!」

ひろかさんはそう姉ちゃんに答えて、じゃぁね。と2階へあがって行った。

その日は眠ることが出来なかった。

いや、それからずっとひろかさんの事が頭から離れない。


「姉ちゃん、そろそろ宅飲みしねーのかよ」

「はぁ?あんたあんなに嫌がってたじゃん」

俺はあれから一度もひろかさんに会えていない。


TheEnd
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