第49章 【山口 忠】For the first time.
「ねぇ、ひろかちゃん・・・」
「んー?」
「いや、呼んだだけ」
「えー?何それ!」
アハハと笑うひろかちゃん。
呼びかけに返事がある幸せをかみしめる。
「ねぇ…俺のこと、名前で呼んでよ」
俺がそうおねだりすると、俺の腕の中に飛び込んで顔を隠した。
「たっ、忠・・・くん」
「へへ。・・・ひろかちゃん」
俺たちは何度も何度もキスをした。
初めて付き合った彼女も
初めて寝る前の電話を日課にしたのも
初めて手を繋いだのも
初めてキスしたのも
全部全部ひろかちゃんだから。
俺の「初めて」は全部ひろかちゃんがいい。
初めての瞬間にいつも隣に居て欲しい。
「ねぇ、ひろかちゃん・・・」
「ん?」
「・・・大好きだよ」
TheEnd