第47章 【黒尾 鉄朗】ヒーロー ~You're my hero~
「おぅ、澤村」
俺はキャンパス内で澤村に声をかけた。
肩を組んだ俺にしかめっ面で澤村は睨みつけた。
「なんでお前も同じ大学なんだよ」
「これからはお互い遠慮なしに戦おうぜ?」
澤村はふっ、と笑った。
これからはひろかの傍に居られる。
ただ、最強のライバルも傍にいるのだ。
油断なんて出来ない。
「俺、お父さんにひろかを頼むって頭下げられたからな」
澤村がそう得意気に言う。
親父さんめ!俺に将来の息子だって言ったじゃねぇーか!
親からの評価は五分五分か。
「クロ~、大地~!お待たせ!!・・・ん?どうかした?」
俺らがいがみ合っているとひろかがやってきた。
「べっつに~?友情を育んでいただけ~」
俺が澤村を見てそう言うと、澤村もヤラシイ笑顔でこっちを見た。
「そうそう。これからよろしくってな」
宣戦布告と言うわけだな。
温和そうな顔して、こいつ結構性格悪いな。
俺がまた口を開こうとすると、ひろかが俺たちを見上げて笑顔で言った。
「本当、二人仲イイよね!」
そんな顔で言われると、俺も澤村も何も言えなくなる。
「クロ、そう言えばこないだまた女の子に告られてたでしょ?」
「ん?あぁ、まーな」
「付き合う・・・の?」
「いや。俺はお前みたいな奴を嫁にもらってくれる人が見つかるまで心配で心配で彼女作る暇ねーよ」
「ひどい!!」
「約束したからな、お前と」
「…ん?」
俺たちの間に交わされた約束。
いつか、一生の愛も約束したい。
〝俺が守ってやるから心配するな!〟
幼き頃の約束を俺は今も忘れない。
TheEnd
あとがきあり