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【★ハイキュー!!★】短編集

第46章 【黒尾 鉄朗】ヒーロー ~試練~


「黒尾?黒尾ってば!!」

「・・・あっ、悪い。なんだ?」

ひろかが引っ越してから数日間、俺は心に大きな穴が開いたような、喪失感に襲われた。

「・・・クロ、最近ずっと変。ひろかがいなくなってから・・・」

研磨の言葉に部員たちが少し俯いた。
ひろかがいなくなって寂しいのは俺だけじゃなかった。

「ばか、ちげぇーよ。最近、金髪美女のDVD観過ぎて寝不足なんだよ!おい、山本!今度貸してやろうか?」

俺はふざけてそう返した。

だめだ。
俺はひろかと約束したんだ。
バレーで強くなるって。

「よし、アップ始めんぞ!!」

それからはきちんと部活に打ち込んだ。








「もしもし?クロ?部活お疲れ様!」

俺は毎日のようにひろかと電話やメールをした。
今日の出来事を話すと、ひろかはうんうんと聞いていた。でも、俺がひろかの事を聞くと、一気に大人しくなる。

「私の居場所はここじゃないもん」

明らかにいつものひろかと違っていた。
辛そうな声を出していた。

「…ねぇ、クロ。私の居場所はそこにまだあるよね?」

「あるに決まってんだろ?」

そう答えると、よかった。と安心したように言った。

きっと新しい環境に自分の居場所を作ってしまうと、こっちでの居場所がなくなってしまうと思っているんだ。

そんなことはない。

けど、電話でどんなに想いを伝えても、伝わりきらないんだ。





好きな奴が辛い時、傍に居てあげられないもどかしさに俺は唇を噛みしめた。


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