第44章 【澤村 大地】ヒーロー ~スタートライン~
4月。
俺たちは大学生になった。
「おぅ、澤村」
俺に声をかけてきたのは黒尾だった。
「なんでお前も同じ大学なんだよ」
俺は組まれた肩にのしかかる重さに抵抗した。
「これからはお互い遠慮なしに戦おうぜ?」
黒尾がひろかに好意を持っていることも分かっていた。
黒尾だって、俺が好意を持っていることを分かっていた。
「俺、お父さんにひろかを頼むって頭下げられたからな」
「へぇ、俺は親父さんに将来の息子候補って言われたぜ?」
俺たちがいがみ合っていると、後ろから聞きなれた声が聞こえる。
「クロ~、大地~!お待たせ!!・・・ん?どうかした?」
俺はひろかの右隣り、黒尾は左隣りに身体をずらした。
「べっつに~?友情を育んでいただけ~」
「そうそう。これからよろしくってな」
そう俺たちが言うとひろかはニカっと笑って、俺たちを見上げた。
「本当、二人仲イイよね!」
ひろかの笑顔を見ると、俺たちは何も言えなくなる。
「なぁ、ひろか。戦隊物の中で誰が一番カッコイイと思う?」
黒尾がそんな事を言い出すから、すかさず俺は口を開いた。
「俺はブラックだな~」
「いや、レッドだろ!」
俺の答えに反応して、黒尾を負けじと対抗する。
「「ひろかは!?」」
俺たちは声をそろえてひろかに聞いた。
「・・・ブルーかな?」
俺たちの予想に反した答えが返ってきた。
ひろかの後ろに立って、俺たちはこそこそ話始めた。
「ブルー登場したらどーするよ」
「とりあえず、ぶっ飛ばすべ」
「・・・だな」
ひろかにとってのヒーロー。
ひろかはどっちを選ぶのか。
俺たちの戦いはしばらく続きそうだ。
TheEnd