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【★ハイキュー!!★】短編集

第39章 【黒尾 鉄朗】大嫌い



昼飯を食べるのも忘れるくらい、何度もキスをした。

「・・・ひろか、好きだっ」

女が言葉を求める生き物だという事は今までの経験上理解済みだ。
ただ、何度も言ってきた「好き」も、ひろかに向けた「好き」になった途端、輝きが変わる。
今までの「好き」はプラスチック。
ひろかへの「好き」はダイアモンド。
偽物の「好き」を何百回言ったところで、本物の「好き」には敵わない。

「鉄・・朗?そろそろご飯食べよう?」

「ひろかを食べ終わったらな?」

俺がニヤリと笑うと、焦ってひろかは俺から離れた。
仕方ないので、俺は渋々昼飯を食らう。

「・・・ねぇ。鉄朗はさ、私のどこがそんなに好きなの?
今までだって、私なんかよりずっと可愛い子と付き合ってきたじゃん・・・」

いきなりそんな事を聞くから、俺は口に含んだ焼きそばパンを吹きだした。

「そうだな・・・」

俺は改めてひろかの好きな所を探した。

「笑ったら可愛いし、細いかと思ったけど意外と胸もデカい!」

「ちょっと!外見だけ?中身はないわけ!?」

ひろかはムスッとしながら俺を見る。

ひろかの好きな所なんて、そんなのあり過ぎるくらいだ。
でも俺の好きの気持ちをどう表現したらいいか、適切な言葉を持ち合わせていない。

「好きになるのに理由必要か?」

「そうやっていつも誤魔化す!」

そう言って資料室を出ようとするひろかの腕を掴み、
俺はひろかをもう一度抱き寄せる。

「・・・鉄朗の…ばか」

「なっ…泣いてんのか?」

「・・・泣いてないもん!」

いつも強がりなひろかの涙。
破壊力は凄まじいものがある。
普段からあまり口にしないから、そこまで不安に思っていたなんて気づかなかった。本当、油断できねぇな。

「こんなに愛情表現してるのにまだ足りねぇのかよ。もっと必要ってゆーなら、今から表現してやろうか?」

「・・・バカ」

俺はひろかの涙を拭った。

「鉄朗なんて、大っ嫌い!!」

「そりゃどーも」

ふくれっ面で言うひろかの「大嫌い」
俺には反対の意味に聞こえる。
俺だけへの言葉。
もっとふくれっ面で「大嫌い」って言ってくれ。



TheEnd
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