第39章 【黒尾 鉄朗】大嫌い
「ひろか~、帰るぞ~」
部活が終わると、俺は自分の教室にひろかを迎えに行く。
まぁ、彼女ってやつだ。
別に女に困ったことはなかった。
来る者拒まず、去る者追わず。
今まで何人付き合ってきたかなんて聞かれてもすぐには答えられない。
去る者を追わないのは、たぶんそんなに好きだったわけじゃないからだと思う。
でもひろかは、初めて自分から告白して付き合った。
今までの女とは全然違った。
キーンコーンカーンコーン
昼休み。
俺は購買に行く途中、廊下でひろかを見かけた。
「おぅ、ひろか!」
俺はひろかの後ろから覆いかぶさった。
「・・・っ!ちょっと、鉄朗!やっ、やめてよ!!」
そんな俺の腕を一生懸命振り払おうとするけど、もちろんビクともしない。
「黒尾くんって、本当ひろかの事好きだよね~」
ひろかの隣にいた女子がそう言う。
「ってことで、こいつ借りてくな!」
俺は抵抗するひろかを無理やり連れ去った。
「ちょっと!今日みんなで限定のチョコロールパン買って食べる予定だったのに~」
不満そうに俺を見て、頬を膨らませるひろか。
「いいだろ?俺がひろかと一緒に居たかったんだから。・・・嫌か?」
「ずるい!・・・鉄朗なんて、大嫌い!」
いつものふくれっ面でひろかは言う。
資料室は俺が見つけた、誰にも邪魔されない学校で唯一の場所。連れ去ったひろかを資料室に連れ込む。
「ひろか、来いよ?」
俺は両腕を広げてひろかを待つ。
「やだよ、こんな所で…」
こういう釣れない所も嫌いじゃない。
まぁ、嫌がっても関係ない。俺はひろかを腕の中に収める。
「なぁ、キスしようか?」
「はっ!?ダメ!ここ学校だよ?」
「だから?」
俺はひろかの唇を塞ぎ、ドンドンと俺の胸を叩き抵抗するひろかの両手首をしっかり抑え込む。
何度も出入りする舌は次第に動きが大きくなる。それとは対照的にひろかの抵抗する力は小さくなる。
息が切れ切れで目がとろんとしているひろかを見降ろすのは何よりも楽しい。
「よかっただろ?」
「…もうっ!大っ嫌い!」
ひろかはまた頬を膨らませる。