第34章 【岩泉 一】私を旅館に連れてって
「うちのクラスはハロウィンカフェでいくことにします!」
3年生の私達にとっては最後の文化祭。
最後ということもあり、かなりみんな気合が入っている。
その理由は…
「今年こそは、1位狙うぞ!!」
毎年、クラスの出し物で人気投票が行われて、1位を取ると、生徒会から特典が送られる。
去年は購買パン半年無料券だった。でも今年は一味違う。
「みんなで温泉行こうぜ!!!」
そう。クラス全員の近場の温泉旅行一泊二日の旅だった。
「ひろか〜!仮装何にする??私はねぇー。悪魔かな!小悪魔的な??」
クラスメイト達は自分の着たい仮装を考えてはしゃいでいた。
「私は裏方でいいよ」
「ダメだよ!ひろかがウエイターやったら売上上がるんだから!!」
そんな話をしていると、私の背後に誰かが立っていることに気がつく。
「ダメだ。お前は裏方やれ」
そこに立っていたのは同じクラスの岩泉一。私の彼氏だ。
「どうせ、露出度の高い衣装になるんだろ?ぜってぇダメだからな」
彼は普段からこうだった。
少し短くした制服のスカートも、暑くて外したシャツのボタンも、みんな嫌がる。
「なにさ、岩泉ー!岩泉ってひろかの口うるさいお母さんみたい〜」
クラスメイトになんて言われ様が関係ない。
元々私も裏方仕事の方が好きだし、今回は彼の意向にそう形で答えを出した。