第32章 【月島 蛍】君の恋のメゾット
彼女がそう言うと、後ろから日向の声が聞こえてくる。
彼女は振り返って、立ち止まった。
「きっとね、こうやって月島と一緒にいると、月島にヤキモチ焼いて拗ねるよ?」
そう言って僕に笑いかける。
「なんで今日は月島とそんなに一緒にいるんだよー!」
「ほらね?」
ぶっ!僕たち二人で吹き出した。
「おぉ、なんかひろかもすらっとしててスタイルいいし、月島と並ぶと様になるな!」
「田中さん、ダメですよ〜。日向がガチ凹みしちゃうじゃないですか〜」
田中さんの発言に僕は乗っかって、日向に見えるように彼女に寄り添った。呆れた顔で彼女は僕を見る。
「おい!月島!!もしかして、月島もひろかのこと好きなのか?俺負けねぇーかんな!俺の方がひろか好きだかんな!」
そう言って日向は僕のそばにいた彼女を連れて行った。
「ひろか!俺チビだけど、ノッポ月島よりいーっぱいひろかの事好きだかんな!」
拗ねてる日向をなだめる彼女の顔はとても柔らかい表情だった。
「好きなタイプと相性のいいタイプは違う…ねぇ」
君が不安になるって言うなら、精一杯好きと伝える。
だから、僕を好きになりなよ。
なんて、言わない。
僕がどんなに頑張っても、日向みたいな愛情表現出来ない。
それに…
僕がそんな愛情表現をしたら、君の好きなタイプの僕じゃなくなるんでしょ?
“月島みたいな人がタイプ”
その称号を譲りたく無い。
TheEnd