第29章 【菅原 孝支】私の親友は清水潔子
「えっ?俺が清水を好き?」
「だって、この間焼却炉で潔子が一番可愛いって…」
菅原くんはあぁ。とその時の事を思い出していた。
「そりゃ、清水が一番だろ!バレー部の誇りだっ!!」
胸を張って嬉しそうに話す菅原くん。
そうだよね…と私はまた落ち込んだ。
「アハハ。落ち込むなよ~。でも、好きとは別だろ?佐藤だって、学年で俺が一番カッコイイなんて思ってないだろ?サッカー部の中野とかイケメンだし!」
「わっ…私は、菅原くんが一番カッコイイって思う!!」
私が必死に伝えると、菅原くんはまたアハハと笑った。
「なんか、嬉しいな。好きな子にカッコイイって言われるのって」
ちょっと照れながらそういう菅原くんにまた私はきゅんとしてしまう。
「やっぱり…菅原くんが一番だよ…」
私は聞こえないくらい小さな声でそう伝えた。
「「おつかれっしたー」」
今日はパパが早く帰ってきたので、妹のことを任せて私は家からまた夜の学校へ向かった。
部活終わりの菅原くんと合流して、私の家まで一緒に帰る。
少しでも青春するべって、菅原くんが提案してくれた。
「ひろか、ごめん。すぐ着替えてくる」
菅原くんは急いで部室に行ったけど、ゆっくりでもいい。こうやって彼氏を待つ時間がこんなに楽しいなんて知らなかった。
「ひろか、お待たせ!」
「お疲れさま、孝支」
まだ名前で呼ぶことに少し照れがあるけど、
名前で呼ぶと、孝支が喜ぶから頑張って呼んでいる。
私たちが校門へ歩き出した時、後ろから潔子の声が聞こえた。
「菅原!」
「おう、どうした?」
「ひろかの事泣かせたら、私…許さないから」
じゃ。と潔子は去って行った。
「・・・はい。泣かせません…」
孝支は潔子の背中に返事をしていた。
私は潔子の気持がすごく嬉しかった。
「やっぱ、私の親友って最高に可愛い!!」
私が大きな声でそう言うと、孝支は少し肩を落として口を開く。
「…怖いけどね。怒るらせると怖い…」
「あはは。潔子を怒らせないでね?」
「・・・分かってます」
孝支はそう言って、私の手を握る。
「幸せにします」
孝支は私のおでこにそっとキスをした。
TheEnd