第27章 【東峰 旭】年上の彼女
「あ~さひ!肉まん食べて帰るべ~」
部活終わり、いつものようにスガが声をかけてきた。
「あっ…ごめん。俺はいいよ」
「ん?どうしたんだよ。体調でも悪いのか?」
大地が心配そうに俺に言った。
「いや…そうじゃないんだけど…」
「なんだよ~、怪しいな~。白状しないと、西谷たちに告げ口するぞ」
スガが俺に近づきながらニヤリと笑った。
「いや!それだけは止めて!あいつらうるさいから!」
「観念するんだな、へなちょこ」
俺は大地に手を置かれた肩をぐっと下げる。
「えっ・・と・・・」
「「えっ!?結婚!?」」
「しーーーーーーーっ!!」
後輩達を早々に上がらせて、俺は部室で2人から尋問を受けていた。
「いや…前に卒業したら結婚しようって言って断られたんだけどさ」
「断られたのかよ」
大地が少しホッとした顔をした。
「でも、一緒に住むなら…って言ってもらえてさ」
「おぉ…。で、指輪を買いたいからお金を貯めてるわけね」
スガがニカっと笑った。
「もちろん就職してちゃんと養えるようになったら本物の指輪を渡そうとは思ってるんだけど、一緒に住む前にケジメと言うかさ…」
俺がそう言うと、2人は顔を見合って笑った。
「まさか、へなちょこ旭が…」
「だな。あの旭がもう結婚のこと考えてるとは…」
2人がしみじみと言うから俺はなんだか恥ずかしくなった。
「でも、あの年上のひろかさんはなんで旭なんだろうな?」
「確かに!でも、このへなちょこな感じがいいんじゃない?可愛い~みたいな?」
茶化すなよ~と止める俺にまた二人は口を開く。
「でもさ、まだ俺ら高校生だろ?それなのにもうこの人だ!って決められるのってすごいよな」
「うん。なんかきっかけとかあったわけ?」
二人は不思議そうに俺を見た。
俺は少し考えて二人に話をした。