第20章 【烏養 繋心】不完全燃焼
ぐったりしているひろか先輩に布団をかけ、
俺も眠りについた。
ガバッ!
俺はハッとした。
「やべぇ、畑仕事…って、今日は休みか」
同窓会で相当飲むだろうと踏んでいた俺は
次の日は休みにしてもらっていたのだ。
焦って起きた自分に、何やってんだ。と突っ込みを入れた。
ふと横を見ると、ひろか先輩がすやすやと眠っていた。
先輩の寝顔は無防備で、とても可愛かった。
俺は先輩のキレイな髪をそっと触った。
「ひろか先輩…好きだ。大好きだ…」
俺は先輩のおでこにキスをして、また眠りについた。
「けーいしん!」
ひろか先輩が俺を呼んでいる。
制服を着てる。あぁ、夢か。
起きたら先輩に俺の気持ちを言うんだ。
ガバッ!
ハッと目が覚めた。
疲れているはずなのに、意外と酒も残ってねぇし、
なんだか体も軽い。
きっと、ひろか先輩のおかげだ。
俺の貯め込んでいた想いを吐き出せたからだ。
今日、俺はひろか先輩に気持ちを伝えて、
それからどうする?
先輩をこっちに呼び戻すか?
親にも結婚しろってうるさく言われてるし。
ひろか先輩との子供…可愛いよな。
先輩似だったらいいな。
俺はそんなことを考えていた。
ふと、隣を見る。
「・・・・先輩!?」
さっきまで隣にいたはずのひろか先輩がいない。
俺は慌てて服を着て、部屋中を探し回ったけど、
先輩の姿はなかった。
その日、ひろか先輩に連絡をしたけど、
返って来ることはなかった。